高杉晋作の辞世の句ってどんな意味?幕末の英雄の残した名句の謎を紐解く!

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歴史上の人物が世を去る時に遺す辞世の句は、現代を生きる我々に様々な感動を与えてくれますね。

「おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり」

幕末のヒーロー高杉晋作の詠んだ辞世の句といわれているものですね。

高杉晋作

有名なものなので、歴史ファンの中には自身の座右の銘として心に刻んでいる人もいるのではないでしょうか。

この句の意味は何なのか。

どんな背景があるのか。

色々と調べてみました。

高杉晋作の辞世の句の意味は何?

高杉晋作の辞世の句といわれているのはこれです。

「おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり」

意味を約するとこんな感じです。

「面白いと思える事もない世の中を面白く」

「それを決めるのは自分自身の心の持ち方だ」

この上の句「おもしろきこともなき世をおもしろく」

解釈は色々できますね。

「面白いこともない世の中だが、俺が一丁面白くしてやるぜ!」

「面白くもない世の中、面白く生きなきゃダメだよ皆さん」

どちらもうまく下の句にかかっていきますね。

「自分の気持ち次第で、つまらないと思えた世の中も面白くできるんじゃないの?」

「一度きりの人生だ。面白おかしく生きようぜ!」

これまで権力や身分制度に縛られてきた人々への、強烈なメッセージと言えるのではないでしょうか。

破天荒の代表のような人物として世に知られた高杉晋作ならではの句ですね。

これは高杉晋作の辞世の句なのか?

高杉晋作は長州藩(現在の山口県)出身。

討幕運動に活躍した人物で、わずか29歳(満27歳)で病(結核)のために亡くなってしまいます。

その時詠んだのが、この辞世の句だと言われています。

よく知られていることですが、この句は高杉晋作と、彼を看取った野村望東尼(のむら ぼうとうに)という女性歌人の合作なのです。

高杉晋作はどんな状況で辞世の句を詠んだのか

幕末維新を扱った多くの作品の中で、高杉晋作の最期を描くシーンはけっこうよく出てきます。

一般的なのは、死の床についた高杉晋作が辞世の句を詠むというくだり。

上の句「おもしろきこともなき世をおもしろく」を詠んだもののもう息が続かず、看病をしていた野村望東尼が「すみなすものは心なりけり」と続けます。

高杉晋作はニヤリと笑みを浮かべて「おもしろいのう」と一言つぶやいて息を引き取ります。

実にドラマチックで格好いい最期ですね。

本当に辞世の句なのか?

実は近年の研究によって、この句が実は1866年の暮れあたりにすでに読まれていたとする資料が見つかりました。

これにより、野村望東尼との合作や死の床でのやり取りなどが怪しくなってきますね。

高杉晋作の亡くなる4か月も前に詠まれたことになるならば、これが辞世の句というのも少しおかしくなりますね。

1866年暮れといえば、長州藩は薩長同盟も成って、倒幕運動にイケイケになってきた頃ですね、

いかに秘密同盟とはいえ、藩の重役の高杉晋作が知らないハズがありませんね。

そんな時期に詠んだとなれば、こんな解釈も想像できます。

「絶対勝てないと思っていた幕府との戦、薩摩との同盟によって勝ち目が見えてきた!」

「諦めかけていたが、心の持ちよう一つで面白くなるもんだ!」

と、こんな感じで詠んだのかもしれませんね。

ただ、戦に赴くにあたって辞世の句を用意するのは武士の習いともいいますね。

まして自分が助からない病に罹っているとわかっていたから、あらかじめ辞世の句を用意していたとも言えるのですが。

あのエキセントリックな高杉晋作がそんな弱気な一面を持っていたのでしょうか。

じつはこの句には微妙に違う箇所があるのだという説も出てきたのです。

それを見ると少しだけ、この句の勢いが変化するのです。

この句のもうひとつの意味の解釈とは?

この句は世間一般には「おもしろきこともなき世をおもしろく」で知られています。

ですが、元々は「おもしろきこともなき世におもしろく」だったというのです。

後の世に改作されて「に」「を」になったというのです。

たった一文字の違いですが、これによって少しこの句の解釈に変化が出ます。

「おもしろきこともなき世おもしろく」

これだと解釈はこんな感じになります。

「この世は面白いことは何もないのだけど、だからこそ頑張って面白く生きなくては」

これに下の句「すみなすものは心なりけり」が合わさると、もうひとつ変化します。

「面白くない世の中だったけど、まあ、心持ち次第で面白くなるものだよ」

「俺が面白くする!」というイケイケだった感じが少しトーンダウンして見えますね。

さらにこれが辞世の句だったとして、野村望東尼との合作だったとしたら、

「面白くない世の中だったが、おもしろく生きられたかな?」

「まあ、自分の心次第で良かったとも悪かったとも言えるのではないですか?」

少し無理やりネガティブに解釈しましたが、こんな悔恨の色も出てくるということですね。

まとめ

幕末のヒーロー高杉晋作の辞世の句は

「おもしろきこともなき世を(に)おもしろく すみなすものは心なりけり」

死の床での女流歌人・野村望東尼との合作といわれている。

「面白くない世の中なら面白く生きてやろう。すべては自分次第」

という強いメッセージでした。

近年の研究では、制作年代の違いや、改作の可能性が発見された。

いずれにしてもこの句には、置かれた場所で咲きなさい」というような力強いメッセージを感じられます。

長い間この句を愛する人々が多いのが納得できますね。

最後までお読みいただき有難うございます。


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